全国各地に存在するご当地ラーメン。その地域の文化や名産品によって違いがあり、地域の色が現れたラーメンは大きな人気を博しています。そんな星の数ほどあるご当地ラーメンの中から今回は、日本三大ラーメンにも入っている『博多ラーメン』について味やスープ、麺や発祥について魅力を徹底的に解説いたします。
白く濁ったクリーミーな豚骨スープ
白く濁ったクリーミーなスープが特徴のとんこつラーメン。豚骨を長時間、または高圧・高熱で煮込むことで、ゼラチン質まで溶け出すためこの濁りが生まれます。この長時間・高熱で煮込むことで軟骨や骨の髄から出たコラーゲンなどの栄養素がしみ出し白く、コッテリとしたコクのある味になるのです。少しとろみがあり「クリーミー」とも言われる独特の味で多くのファンがいます。ただ豚骨からとったスープのため独特の臭みがあり、臭みが苦手な人も多いようです。ただ豚骨ラーメンの中には、クリーミーであっさりとしたものもあります。豚骨ラーメンは店によって濃さや香り、味付けが変わります。店の数だけさまざまな豚骨ラーメンを楽しむことができるのです。「しょうゆ」「塩」「味噌」はタレの味がそのままラーメンの名前となっているのに対し、「とんこつ」はダシの名前がラーメンの名前になっています。そのため、とんこつダシとしょうゆダレを組み合わせた「とんこつ醤油」や、とんこつダシと塩ダレを組み合わせた「とんこつ塩」など、さまざまな味わいを楽しむことができます。
ストレートの細麺
ストレートの細麺が特徴のラーメン。見た目は白く、加水率が低く粉っぽくコシの少ない麺のため濃厚な博多系のスープを吸いやすいのが特徴です。茹で時間で固さを調整しているので自分の好みの固さを「カタ」、「バリカタ」など選んで注文ができます。麺が細く伸びやすいため、大盛りでの提供がないお店がほとんどですが、その代わりに麺の追加注文ができる替え玉というシステムがあります。替え玉注文は、茹でたての麺を追加するので、細麺が最後まで伸びずにおいしく食べることができるとても画期的な提供方法です。こういった麺の茹で方(硬さ)を指定できたり、替え玉と呼ばれる麺のおかわりのスタイルを生み出したりと、博多ラーメンはその後のラーメン業界全体にも大きな影響を与えました。
シンプルな具材に自分好みでトッピング
博多ラーメンの具材は大変シンプルでネギだけ、あるいはネギとチャーシューだけというお店も珍しくありません。その他にチャーシューやきくらげ、もやし、海苔がトッピングされていることもあります。特徴はお店のテーブルに紅しょうがと白ごま・辛子高菜がおいてあり、自分の好みに合わせてトッピングすることが出来るというところです。かつて豚骨ラーメンに馴染みがなかった時代、独特の匂いを抑え食べやすくなることからこのサービスがはじまったと言われています。これらの具材は最初から入れてしまうととんこつの味を感じにくくなってしまうため、食べ進めながら除々に足して行くのが本場博多の食べ方です。
博多ラーメンの発祥地・歴史
元祖といわれるとんこつラーメンの発祥地は福岡県久留米市です。昭和12年に、西鉄久留米駅の近くにオープンしたラーメン屋台である“南京千両”が、豚骨ラーメンを始めて提供した店舗だと言われています。そこで長崎県出身の店主が、ふるさとのちゃんぽんと当時横浜で流行していた支那そばをヒントに試行錯誤していました。その後、屋台の「三九」の店主が、スープの煮込み火力が強すぎたために白く濁らせてしまったことで偶然に白濁とんこつスープが誕生しました。この久留米のラーメン文化が北九州や熊本、大分など九州広域に広がり、長い時間をかけて各地域独自のラーメンができています。