夏の味覚!BBQで大活躍の「とうもろこし」。日本各地で楽しまれている日本人のソウルフードです。
ところで、このトウモロコシ…地域の方言によって異なる名称で呼ばれているのをご存知ですか?
「とうきび」「とうみぎ」「なんば」など、各地域での呼び方に違いがあるのです!さらに今回は、名前の似ている「とうきび」と「さとうきび」の違いについても徹底解説します!
意外と知らない「とうもろこし」の歴史
とうもろこしは、米・小麦とともに世界各地で消費されている世界三大穀物のひとつ。アフリカ大陸の各国で主食とされることも多いので、アフリカ原産の植物かと思いきや、実はアメリカ大陸が原産地。
15世紀末に新大陸を発見したコロンブスがヨーロッパに持ち帰ったことをきっかけに世界的に知られることになったと伝えられています。その後、日本にとうもろこしがやってきたのは16世紀の終わりごろ。ポルトガル人によって長崎へと持ち込まれたものが発祥と考えられています。
「とうきび」と「とうもろこし」の違い
結論からいうと、「とうきび」と「とうもろこし」の違いは、地域によって呼び方が違うだけ。どちらも同じトウモロコシのことを指しています。
そもそも「とうもろこし」という名前は、「モロコシ(別名タカキビ)」というイネ科の植物の名前に「外来の」という意味を表す「唐=とう」を付けたものに由来しています。
黍(キビ)というイネ科の植物に似ているということで、とうもろこし以外にも「南蛮の黍=なんばんきび」などと呼ばれていたようです。
モロコシとキビ、トウモロコシは見た目から大きく異なる植物ですが、とうもろこしを初めて見た当時の日本人にとっては、連なったトウモロコシの粒が稲のように見えたのかもしれません。
とうもろこしの方言
「とうきび」は比較的よく耳にする方言ですが、鹿児島では「たかきび」と呼ばれていたり、秋田県では「とっきみ」と呼ばれていたりと、とうもろこしは地域によって様々な名称が存在します。筆者が確認しただけでも全国に40種以上の呼び名があるようです!
「とうまめ」「とうむぎ」「まるきび」など、とうもろこしの粒を連想させる地方名もあれば、「なんば」「なんばん」など南蛮由来であることがベースになった呼び方も!
さらには「あぶりき」や「さんかく」「とうとこ」といった、知らない人には絶対に伝わらないような名前で呼んでいる地域もあるそうです。
「とうきび」と「さとうきび」の違い
最後に、「とうもろこし(とうきび)」と「さとうきび」の違いについて。どちらもイネ科の植物ではありますが、この2つは全く別のものを指しています。
とうもろこし(とうきび)は、ご存じのように甘くてシャリシャリとした食感がたまらない食べ物です。前述したように「黍(キビ)」や「モロコシ(タカキビ)」を連想させることから「とうもろこし(とうきび)」と呼ばれています。
対して、「さとうきび」は、砂糖の原料になる植物。温暖な気候で育つため、主に沖縄や鹿児島県で生産されており、北海道などの寒い気候で育つとうもろこしとは真逆の生育環境で育ちます。
「とうもろこし」はとても甘くスイーツのような名前が付いた品種もあることから、「野菜なの?果物なの?」と思う方もいるかもしれませんが、実はどちらでもないのです!
冒頭でも触れたように、とうもろこしは、米・小麦と並んで世界三大穀物のひとつ。つまり世界的には穀物に分類されています!
ただし、農林水産省の説明によると「トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモなどは加工しないで、副食として利用される場合には野菜となり、主食あるいは加工原料として使われる場合には野菜ではない。」と定められていることから、日本では野菜として扱われることが多く「トウモロコシ=野菜」というイメージの方が強いかもしれません。